公開日 2022年01月18日
働き方の多様化を踏まえ、「働き方改革」を後押しするなどの観点から、特定の収入にのみ適用される給与所得控除額・公的年金等控除額がそれぞれ10万円引き下げられ、どのような所得にでも適用される基礎控除の控除額が10万円引き上げられます。
なお、給与所得と年金所得の両方を有する方は、片方に係る控除のみが減額されるように、給与所得控除後の給与所得から10万円が控除されます。
給与所得控除の改正
給与所得控除額が一律10万円引き下げられます。
控除額の上限が適用される給与等の収入金額が1,000万円から850万円に、その上限額が220万円から195万円に引き下げられます。
公的年金等控除の改正
- 公的年金等控除額が一律10万円引き下げられます。
- 公的年金等の収入金額が1,000万円を超える場合の公的年金等控除額の上限額が、195万5,000円に定められます。
- 公的年金等に係る雑所得以外の所得に係る合計所得金額が1,000万円を超え2,000万円以下である場合には一律10万円を、2,000万円を超える場合には一律20万円を、それぞれ上記1.2.の見直し後の公的年金等控除額から引き下げられます。
所得金額調整控除の創設
下記のいずれかに該当する場合は、給与所得から所得金額調整控除が控除されます。
- 給与等の収入金額が850万円を超え、次のいずれかに該当する場合※1
- 本人が特別障がい者に該当する者
- 年齢23歳未満の扶養親族を有する者
- 特別障がい者である同一生計配偶者もしくは扶養親族を有する者
控除額=(給与等の収入額(1,000万円を超える場合は1,000万円)-850万円)×10%
- 給与所得控除後の給与等の金額および公的年金等に係る雑所得の金額があり、給与所得控除後の給与等の金額と公的年金等に係る雑所得の金額の合計額が10万円を超える場合
控除額=(給与所得控除後の給与等の金額(10万円を限度)+公的年金等に係る雑所得の金額(10万円を限度))-10万円
※1の控除がある場合は、※1の控除後の金額から控除されます。
基礎控除の改正
基礎控除額が10万円引き上げられます。
合計所得金額が2,400万円を超える場合は、控除額が逓減し、2,500万円を超えると基礎控除は適用されなくなります。
調整控除の改正
前年の合計所得金額が2,500万円を超える納税義務者については、調整控除が適用されなくなります。
扶養親族等の所得金額要件の改正
給与所得控除・公的年金等控除から基礎控除への振り替えにより、扶養親族等の合計所得金額要件なども見直しされます。
各要件については、以下のとおりです。
- 同一生計配偶者及び扶養親族の合計所得金額・・・48万円以下
- 配偶者特別控除に係る配偶者の合計所得金額・・・48万円超133万円以下
- 勤労学生控除の合計所得金額・・・75万円以下
- 家内労働者等の事業所得等の所得計算の特例について、必要経費に算入する金額の最低保証額・・・55万円
ひとり親控除の創設及び寡婦控除の改正
- 婚姻歴や性別に関わらず、生計を同じにする子(総所得金額等が48万円以下)を有する単身者(合計所得金額500万円以下に限る)について「ひとり親控除」(控除額30万円)が適用されます。
- 上記以外の寡婦については、引き続き寡婦控除として控除額26万円を適用し、子以外の扶養親族を有する寡婦についても所得制限(合計所得金額500万円以下)が設定されます。
- ひとり親控除、寡婦控除のいずれについても、住民票の続柄に「夫(未届)」、「妻(未届)」の記載がある方は対象外となります。
非課税の範囲の改正
- 「均等割」が課税されない方(非課税者)
- 障がい者、未成年者、寡婦またはひとり親に対する非課税措置の前年の合計所得金額・・・135万円以下
※未婚のひとり親について、児童扶養手当受給者に限定されません。
- 「均等割」の非課税措置の前年の合計所得金額・・・28万円×(本人+同一生計配偶者+扶養親族の人数)+10万円+16万8千円
※上記の式の「16万8千円」は、同一生計配偶者または扶養親族を有する場合に加算します。
- 「所得割」が課税されない方
- 「所得割」の非課税措置の前年の総所得金額等・・・35万円×(本人+同一生計配偶者+扶養親族の人数)+10万円+32万円
※上記の式の「32万円」は、同一生計配偶者または扶養親族を有する場合に加算します。