公開日 2016年05月31日
障害者差別解消法とは
平成18年に国連において、障害者の権利に関する条約が採択されました。我が国は、平成19年に権利条約に署名し、以来、国内法の整備を始めとする取り組みが進められ、平成26年1月に権利条約を締結しました。
障害者差別解消法は、障害者基本法の差別の禁止の基本原則を具体化したもので、国民一人一人が、障害のあるなしに関わらず、お互いに人格を尊重し合いながら共生できる社会を目指して障害者差別の解消を推進することを目的として、平成25年6月に制定され、平成28年4月1日に施行されました。
対象となる「障害のある人」は、障害者基本法で定められた障害のある全ての人です。身体、知的、発達障害を含む精神障害、その他の心身の機能に障害のある人が対象で、障害者手帳を持っていない人も含まれます。
「合理的配慮」を心がけましょう
障害者差別解消法では、障害を理由とした「不当な差別的取扱い」が厳禁され、「合理的配慮」が求められています。
不当な差別的取扱いとは、障害があることのみを理由に、サービスの提供の拒否や制限をすることです。国や市町村などの行政機関だけでなく、会社や店舗などの民間事業者でも禁止されます。
障害のある人にとって日常生活や社会生活を送る上で障壁となるものを「社会的障壁」といいます。この社会的障壁には、障害のある人が利用しにくい施設・設備・制度、障害のある人の存在を意識していない慣習などがあります。この社会的障壁を負担になり過ぎない範囲で取り除くことを、合理的配慮といいます。行政機関では法的義務が生じ、民間事業者には努力義務が発生します。ただし、民間事業者などであっても、繰り返し差別を行い、合理的配慮の努力を怠った場合には、国が報告を求め、助言・指導・勧告といった行政措置を取ることができるとされています。
障害者差別解消法では個人的に障害のある人と接する場合や個人の思想・言論については対象とされていませんが、差別の解消に向けた取り組みを一人一人がそれぞれの立場で自発的に行っていくことが期待されています。
不当な差別的取扱いの一例
- 車椅子を利用していることを理由に入店を断ってはいけない。
- 会員制のクラブや習い事の教室で、障害があることを理由に入会を断ってはいけない。
※正当な理由がある場合でも、その理由を説明し理解を得られるように努める必要があります。
合理的配慮の一例
- 視覚障害のある人には、読み上げによる説明をする。
- 聴覚障害のある人には、筆談など音声とは別の方法で伝える。
- 障害の特性に応じた休憩時間の調整をする。
- 車椅子を利用する人のために段差にスロープを渡す。
条例との関係
県では、「障害のある人もない人も共に暮らしやすい千葉県づくり条例」がありますが、障害者差別解消法の施行後においても、引き続き効力はあります。
誰もが暮らしやすいまちへ
障害を理由とする差別を解消することは、社会全体の責務です。少しの配慮で助かる人がいることを心に留め、障害のあるなしに関わらず、住みよい社会を作っていきましょう。障害を理由とする差別で困ったときは、ご相談ください。
参考資料
詳しくは、下記、内閣府ホームページの「障害を理由とする差別の解消の推進」をご覧ください。(外部サイトへ移動します。)